オリエント美術館に所蔵している収蔵品からは、美術や歴史だけでなく、さまざまな教科で活用していただくことができます。またひとつの作品でも、歴史、美術、化学、社会などさまざまな観点からアプローチすることが可能です。各教科やクラブ活動(美術部・書道部・天文部・科学部など)における利活用の一例を示します。
児童・生徒が美術作品を制作する時の、アイデア探しやデザインの参考として、活用していただくことができます。また、作品が生み出された地域や時代背景による造形や美術様式の違いや共通点など、作品の魅力にさまざまな観点から触れていただくことができます。
オリエント各地、各時代の造形、美術様式を比較
作品に描かれている古代の文字から、文字の起源や歴史を知ることができます。
・文字の起源=トークン?
・人類最初の文字=楔形文字
・シュメル語=膠着語=日本語に近い文法構造
・表音表意文字から表音文字へ
・神の言葉を記すための文字、アラビア文字
古代オリエントの人々は、どのような技術で金属を接着する作品を生み出すことができたのか。ガラス製品をどのような方法で鮮やかに着色することができたのか。化学や科学史の観点からも、作品から学ぶことができます。
左から、土器、青銅器、鉄心青銅器、ガラス
熱をつかった化学変化=パイロテクノロジー
- 土器 -
 - 酸化焔焼成、還元焔焼成とは? など
- 金属 -
 - 銅+錫=青銅、銅+亜鉛=真鍮 など
 - 鍛造技術 「延性」と「展性」を理解し、応用した作品
 - 鋳造技術 金属の「融点」を理解し、応用した作品
- ガラス -
 - 結晶構造を持たない液体の状態(アモルファス構造)
 - 主成分 シリカ+カルシウム+アルカリ
 - ガラスの色 シリカの網目構造にとり込まれた金属の種類や状態のちがいを反映
「目には目を、歯には歯を」。誰もが聞いたことがあるハンムラビ法典の一節ですが、そこには具体的に何が書かれているのか。「楔形文字」が使用されていた文書では実際に何が書かれており、どのような人たちが使っている社会だったのか。実際の作品を通して学ぶことができます。
左から、ハンムラビ法典、楔形文字粘土板文書、印章の捺された楔形文字粘土板文書と円筒印章
- ハンムラビ法典碑 -
 - 法による社会秩序の維持
 - 弱者の保護
- 楔形文字粘土板文書 -
 - 土地の売買契約文書、多数の証人の名が列記される
 - 記録、情報伝達、文学…文明の発展に果たした文字の意義
- 印章の捺された楔形文字粘土板文書と円筒印章 -
 - 文書に印章を捺して、真正を証明する。大切な文書は粘土の封筒に入れた。
 - 印章=ハンコの起源は古代オリエント。ハンコが必要な社会とは?
収蔵品には動物や植物がモチーフとなった作品も多く、その中には児童・生徒の心に訴えかける、かわいらしい造形や個性的な作品があります。このようなモチーフに選ばれる動植物は、各作品が生み出された時代や地域の環境を考える手がかりとなります。
左から、イランとパキスタンのコブウシ形土器、工芸品にみるオリエントの植物
- パキスタンのコブウシ形土器 -
 - 現在は乾燥地帯だが、かつては湿潤であったことを示す。
- 工芸品にみるオリエントの植物 -
 - どんな植物を描いているのか
 - そのような植物が生育する環境は?

各時代、各地域においてモチーフに選ばれる動植物は、各時代・地域の環境を比較する手がかりとなる。

現代人が見ている星と同じ星を見ていた、古代オリエントの人々が描く星座をモチーフにした作品の一例です。
黄道十二宮壺
- 黄道十二宮図壺 -
 - 山羊座、水瓶座…といった黄道十二宮(星座)の起源は古代オリエント
 - 黄道十二宮図が表された陶器としては、本作を含め世界で3例しか知られていない